本日の一曲No453:七人の侍

有終の美・・・。

正に、その言葉通りの采配でした。


先週末、息子の野球部、秋季リーグ戦の最終節の試合がありました。
息子の学校は、去年の秋季、今年の春季と最下位の6位。
今季は、勝ち点を上げて、最下位脱出が目標でした。
しかし、ここまで8戦全敗。
この最終節で現、5位チームに2勝しなければ、今季も最下位です。
4年生にとっては、最後の試合。
今3年生の息子いわく、このまま、全敗で、
先輩を送り出すわけにはいかないと・・・。

始めは見に行くつもりはなかったのですが、
息子の「待ってるから~」という言葉と、
先発するかもという情報に、主人と出かける事になりました。
と、簡単に言っても、車で9時間は掛かる遠距離。
ホテルを予約し(いつもの安くて便利なホテルまだ空いてて、ホッ)
娘ひとり置いておくのも心配なので、
おじいちゃんとおばあちゃんに来て貰う様にお願いし、
と慌しく事は決まっていきました。

金曜日、主人の仕事先へ迎えに行って、そのまま高速道路のI.Cへ直行。
夜中じゅう車を走らせ、土曜日の朝、4時半ごろ息子の下宿先へ到着です。
7時前まで車中で時間を潰してから息子にメール。
(カードがないと入り口の戸が開けられないので)
なのに、緊張感のない我が息子。
爆睡中らしく、返事が来ない。
丁度他の学生が出てきたので、戸が開いた隙に入れてもらった。
しかし、部屋の戸を叩いても反応なし。
何度か叩いて、やっと出てきた息子は、
やはりまだしっかり寝ていたようで、寝ぼけまなこでふらふら。
部屋に入ると、ベッドから敷きマットは完全に落ちているは、すごい寝相。

これが本当に、今日、先発するピッチャーかい?
いつものことながら、わけのわからないクソ度胸だけは健在のよう。

そして肝心の試合ですが、
5回を終わって、1X5で勝ち越し。
勝利投手の権利を手に入れ降板。
残り4回をリリーフのピッチャーが凌いでくれれば、
息子にとっては、公式戦としては4年ぶりの勝利投手となります。
しかし、現実はそんなに甘くはありません。
その後、1点、1点、4点、4点と取られ、
終わってみれば、12X5で完敗です。
息子も、1点で押さえはしましたが、
5回で残塁9という、ピンチの連続でした。

でも、本人も久しぶりの勝ち星のチャンスに祈る気持ちでベンチにいたとか。
同じ気持ちでスタンドにいた私たち。
そして遂に同点になってしまった瞬間。
どうしようもない気持ちで天を仰ぎました。
誰を攻めるわけではなく、この4年間のアイツを見ているだけに、
勝たせてやりたかったと・・・。
高校2年の秋、戦力外通告を受けてから今まで。
高校とは違い、勝ちにこだわる野球ではなく、
チームに出来る最高のパフォーマンスを目標に、
その先に目指して来た勝利。
それが零れ落ちた瞬間でした。
息子もどうしようもなく落ち込む気持ちを整理できず、
仲間の前でそんな顔を見せるわけにもいかず、
トイレに行ったそうです。
今までに、逆の立場の事だってありました。
他のピッチャーの勝ち星を息子がリリーフして点を取られた事も。
だから、点を取られた事がどうのこうの、ではなく、
あー・・・何とも言えない・・・。

後から息子も言っていましたが、
ピッチャーは交代してしまうと自分では何もできない。
唯見ていることしか出来ないのは、ほんとしんどいと。
マウンドで投げてたほうがよっぽど気楽だと。

そして、2戦目。
息子と同期の投手がなんと、完投。
3X1で勝ちました。
その子にとっても、大学に入って、公式戦、初勝利。
応援団も、応援に来ていた親たちも、一団となっての大応援。
久しぶりに、純粋な気持ちでチームを応援できた試合でした。
これで、1勝1敗。
勝負は第3戦に持ち込まれました。
が、残念ながら、私たちは月曜日の仕事があるので、
球場からそのまま、高速道路へ直行。
4年生の先輩の親に、今までお世話になったお礼を言うのが精一杯で、
息子と話す暇もなく、帰路に着きました。

主人との会話の中で一番の興味は、第3戦の先発は誰かということ。
本来エースの4年生のEさんが、ここのところ不調。
残りは、息子か、1年生のk君。
最下位脱出を第1目的とするなら、K君か息子。
しかし、今まで引っ張ってきてくれたエースにチームを託すなら、Eさん。
会社で仕事をしながら、どうだろうと気になりながら・・・。
お昼休み、家に帰ってインターネットで試合経過を見て見ると、
先発は、Eさん。
そして、キャッチャーは大会直前、事故で怪我を負い、
戦線離脱していたけれど、やっとグランドに戻ってきた4年生のSさん。
4年生のバッテリーでした。
監督さんの粋な計らいに、ぐっときました。
7回を終わって3X0で負けてはいましたが、
さすがに4年生の意地を感じました。

引退への花道。
有終の美。
勝負に勝つことで、有終の美を・・・、
という風に思いがちですが、本来の意味は、そうではありません。
物事を最後までりっぱに遣りとげて、成果を上げること。
その意味をあらためて尊いと感じました。

リリーフに登板したのは、やはり4年生のKさん。
その分では、たぶん残りの2人も出場しているでしょう。
試合を諦めての起用ではありません。
ですが、勝ちにこだわった選手起用でもありません。
負けてはしまいましたが、価値のある試合だったのではと思います。
4年生にとっても、後輩たちにとっても、
心の中に、暖かいものが残る、大事な時間になったのだと。

ここで一勝あげて最下位を脱出する事も、
先輩を送り出す、いい結果にはなったでしょう。
しかし、その事よりも、長い野球人生の最後を、
しっかりと納得できる物にしてやりたい、という監督さんの
熱くて、あったかい気持ちが伝わってきました。
心から、ありがとうございます、と言いたいです。

こんなチームで、監督さんの下で、野球が出来る息子は、幸せです。
初めて、大学野球の持つ意味というか、
役割というか、いいものだな、大学野球ってと思いました。

そして、リーグ戦っていいなーと。
高校野球の様にトーナメントの大会が多いと、
一つ負けたら終わりですから、どうしても勝負に一番こだわってしまいます。
悪い言い方ですが、個人は使い捨て、代わりはいくらでもいます。
一人の選手の心の中まで(はじっこの選手は)考えてなんてもらえません。
(という学校、時期、もあります)

来年の春、その時は息子も4年生。
10数年やってきた野球と関わる最後の年になるわけです。
有終の美を飾れるように、あと少しのこれからの期間、
有意義に過ごしてもらいたい物です。

今、外は雨が降っています。
誰の流す、どんな涙が、降らしているのでしょう。
今夜の雨は、少ししょっぱいかもしれません・・・。

本日の一曲No453:七人の侍
1954年、日本映画。
監督:黒澤明、主演:三船敏郎、志村喬、他
音楽は、早坂文雄。
弦楽器を重厚に効かせたテーマは、決して日本を思わせようなどという気配は感じない。
和楽器を使ったりもしていない(ように聞こえる)。
なのに、聞こえてくるスコアは、紛れもなく、侍の足音を、袴に藁草履のしっかりとした
男の足取りを感じさせる。

事、成し終えた後、静かに去り行く侍の後ろ姿。
勝利を手に入れるのは農民であり、侍ではない。
その事を承知しながらも(?)、最後まで闘い、散り行く姿、去り行く姿に、
ある意味、美学を感じてしまうのですが・・・。

弱きを助け、喜びに湧く民衆を遠目で見つめ、
眉毛など片方あげながら、ニヒルに微笑んで、去っていく。
気付いた女に呼び止められても振り向く事もせず、
親指などちょっと立てて、返事として返してそのまま歩き去っていく。
なーんて、マカロニウエスタンか、時代劇か、
はたまた、アニメの世界でありそうですが、
勝利の輪に入りきらずに去るというのは、
私の中では、最高にカッコイイ、男の美学みたいなもので・・・。

今回、息子のチームを去るのは7人ではなく5人ですが、
彼らが球場を去る後姿に、お疲れ様、ありがとう!
って、思いを込めて手を振りたいです。





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